多くの学者は、ヘリコバクター・ピロリに感染していない胃では胃癌が発生しないと考えています。
ペプシノーゲン検査(血液検査)とヘリコバクター・ピロリ検査を組み合わせて胃粘膜の萎縮程度を判断する検査手法は「ABC 検診」(免疫組織化学の一種)と呼ばれ、この検査の胃癌発見率は胃造影検査の胃癌発見率とほぼ同じであるという報告があります。厚生労働省の第 3 次抗がん総合戦略研究事業が長年にわたって実施した大規模研究によれば、次のような結論が得られました。
| | | | 胃癌発生頻度/年 |
|---|
| A群 | ヘリコバクター・ピロリ(-) | ペプシノーゲン(-) | 0 |
| B群 | ヘリコバクター・ピロリ(+) | ペプシノーゲン(-) | 1000人中1人 |
| C群 | ヘリコバクター・ピロリ(+) | ペプシノーゲン(+) | 400人中1人 |
| D群 | ヘリコバクター・ピロリ(-) | ペプシノーゲン(+) | 80人中1人 |
自分がA、B、C、Dのいずれかのグループに属するかを知っていれば、毎年胃カメラ検査を受けるか、5年に1回受けるかを決めることができます。これにより、将来がんにかかったとしても、早期発見、早期治療が可能になります。
現在の日本は胃がん大国と言えるでしょう。多くの国民が胃がんで亡くなっています。しかし、绝大多数の国民は内視鏡検査やバリウム造影検査を受けることを嫌がり、そのために最適な治療機会を逃してしまいます。積極的に内視鏡検査やバリウム造影検査を受ける人にとっては、ABC 検診は必ずしも必要ではないかもしれません。しかし、内視鏡もバリウム造影も受けたくない人には、簡単な血液検査で初歩的に判断できる ABC 検診をまず受けることを推奨します。